このたび8月の終わりに、台湾を訪問し視察を行いましたのでご報告いたします。

視察の経緯と目的
 今回の訪台は、昨年から続く「青鳥運動」の延長線上にある「罷免投票」を現地で視察することを検討したことが出発点でした。
「青鳥運動」は、立法院(国会)での親中・対中融和の野党による「国会権限強化法(権力分立や人民の権利侵害など憲法違反の可能性)」や「国防・防災予算への反対」に抗議する市民運動です。
 8月23日には、野党親中派・対中融和議員7名を対象とする「罷免投票」が実施されるため、これに併せて台湾情勢を現地で学ぶ事を目的としていました。

台湾の現状と認知戦の脅威
 7月の罷免投票対象の24名、そして今回8月23日の7名に対する罷免投票はいずれも全敗という結果でした。これにより、台湾は史上初のねじれ国会となり、民進党は頼清徳総統の下で国防予算を推進しようとしていますが、野党多数の現状では予算が通らず、防衛体制が危うい局面を迎えています。
既に台湾の国産潜水艦計画は、野党の反対で停滞しており、8隻の建造計画のうち、建造が進んでいるのは1隻のみといった状況もあります。こういった状況に更に拍車をかける恐れがあります。
 今回の「罷免投票」失敗の背景要因の一つに、中国共産党による認知戦の影響が挙げられます。具体的には、インフルエンサーの買収や若者に普及しているTikTokといったSNS等を活用した洗脳によって、親中・反台湾政府の世論操作や分断工作が実際に行われました。認知戦とは、人々の認知領域を標的とする「第6の戦場」とも呼ばれる新たな戦争形態であり、民主主義国家を根底から揺るがしかねないものです。日本でも同様の工作が行われていると考えられ、これからのSNS時代にあっては特に警戒が必要です。

訪台活動の概要
1日目:台北到着後、インド太平洋シンポジウム関係者から、訪台の理由について取材を受けました。その後、龍山寺を訪問し、台湾メディア「民間全民電視公司」から日本の現状について取材を受けました。
2日目:台湾総統府を訪れ、呉釗燮前外交部長と面会しました。また、立法院にて立法委員(国会議員に相当)である黄捷議員、吳沛憶議員及び陳冠廷議員と交流し、次世代の日台関係について意見交換しました。
3日目:インド太平洋シンクタンク主催シンポジウムに登壇し、日本の現状を報告して、台湾の方々と認知戦の危険性について共有しました。黒熊学院の活動についても視察し、台湾の「民間防衛」への強い意識を実感しました。
4日目以降:228祈念館、人権博物館などを訪問し、戒厳令時代の台湾について学びました。

所 感
 今回の視察で痛感したのは、台湾が民主主義を守るために直面している厳しい現実です。
罷免投票の全敗は大きな挫折ですが、台湾が終わったわけではありません。日本は、台湾と共に自由と民主を守り抜くため、より強固な連携を築かなければなりません。
 特に、日本国内でも移民政策や帰化制度の在り方を見直し、人口侵略への対抗策を取ることが不可欠です。そして何より、台湾は日本にとって兄弟国であり、最後の防波堤です。
世論の力を結集し、両国が共に未来を切り拓くことが必要だと強く感じました。

結びに
今回の視察は、私自身にとっても初の海外視察であり、多くの学びと課題を得る貴重な機会となりました。改めて、ご支援くださった皆さまに深く感謝申し上げます。
今後も日台の連帯を強め、自由と民主主義を守るために全力を尽くしてまいります。


── 平野雨龍

【取材報道一覧】
本視察については、台湾主要メディアでも大きく報じられました。以下に一部を掲載いたします。
・中央通訊社
・自由時報
・NOWnews今日新聞
・公共電視台
・中華電視公司
・新唐人電視ほか多数